合唱稽古実例集(大賀美子著)

2020/12/28

ピアノ&パーカッションデュオ「フィーリン」で活躍中のピアニスト大賀美子さんは、伴奏ピアニストとして多くの合唱団と関わっていらっしゃいます。今回、大賀さんは、文化庁の文化芸術活動の継続支援事業の採択を受けて「合唱稽古実例集」を執筆し、一般社団法人文果組が発行のお手伝いをいたしました。ぜひご覧いただけると幸いです。

~以下大賀先生のご挨拶文より~

2020 年1月時点で8つの団体の伴奏を担当しておりましたが、コロナ禍による緊急事態宣言以降、全ての団が活動を自粛しました。
半年以上経った 10 月現在、活動を再開した団もありますが、未だ再開の見込みの立たない団や、全員が参加できない状態の団もあります。

新型コロナウイルス感染症にはまだ未知な点があるものの、複数の人が集まり、室内での発声を伴う練習を行う合唱活動が、感染リスクと隣り合わせであることは、過去のクラスター発生の事例などからも忘れてはなりません。

しかし同時に、合唱活動は学校現場での授業や部活動、大学・社会人、高齢者などのサークル活動として、国内に深く根付いている音楽文化の一つです。
音楽を学ぶという側面のみならず、多様な人々が合唱を通して交流し、共に作り上げる体験を共有することで、日々の生活に潤いや活力をもたらす、大切な社会的活動でもあります。

コロナ禍のため合唱活動が制限されることにより、生きがいや目標を失い、精神的不安を感じるといった声も少なからず聞こえてきます。

筆者は文化庁より令和2年度文化芸術活動の継続支援をいただき、コロナ渦においても安全に合唱活動を楽しむ方法として、オンライン(YouTube)を使用しての練習配信の実験を行いました。
本実例集ではその実践の報告と、その他の媒体でのオンライン合唱活動の事例、また、before コロナでは一般的であった対面式の合唱練習での工夫などを紹介します。
今、手探りで合唱活動を再開している団、まだ再開への見込みの立たない団にとっても、何かの参考になればと作成いたしました。
また with コロナにおける合唱活動のあり方についての情報交換の契機となることも期待しています。